ローコストについて
単純にローコストというが、何を、どうすればローコストになるのだろうか。ユーザーの方は、そんな風に思ったことはないだろうか。やり方は、様々ですが私が思う、若しくは行ったローコストについて少し書いていきたいと思います。
私のローコストについての理念は、単純に、その物について「質を落とすことなく金額を下げる。」と、言うことです。金額を下げるだけなら誰でもが、容易に出来ることです。予定される住機器や家具を取り止めることやグレードを単純に下げさえすれば金額は、簡単に落ちます。それでは、ローコストについて解決したことにはならないと、私は思っています。なぜなら、必要と思われるからこそ、見積もりに含むのであって最初から入れなければ良かったことにつながります。結果、ユーザーの方は居住したのち、必要になり購入しなくてはいけないことにつながります。その様な結果にならないように、まずはユーザーの方も決意を持ち取り組んで頂きたいと思っています。
私が考える項目の中には、構造関係に関し最初の段階では手をつけない、と言うのが前提にあります。やはり、建物に重要な部位だけに、その対象から外しています。例えば、木造家屋の場合の柱、梁など構造材に関し材質は変更しないとか、鉄筋コンクリート造のコンクリート強度とかです。それをすることにより、全体の1割〜2割は落ちるかも知れませんが強度低下するなど建物の耐久性も信頼が損なわれたり、最悪の事態では欠陥住宅にもなりかねません。まさしく意味のないことです。当たり前のことだと思いますが、その様なことをしたローコストが実際に行われている現状です。しかし、材質の変更や強度変更をして建物強度が増した上にローコストになったという結果の場合は、成功したと言うことにつながります。その場合に関しては私も大賛成です。一例としてですが、以前設計した住宅で、基礎に関して布基礎からべた基礎への変更でローコストに成功しました。
ローコストに当たって住機器もその対象に入れざるをえません。前述したように、私の場合はグレードを下げたり、取りやめるのではなく単価を下げて、かつ良品質のものを中心に選んでいきます。システムキッチンや洗面化粧台といったものが対象になります。システムキッチンで大手メーカー製のものを使う必要が生じた場合には、各社のものを徹底して調査し、どのメーカーにするか検討します。最近の大手メーカー製のキッチンも素晴らしく(唯一、金物類に不満)仕上がっていますので選択は非常に困難な時もあります。(実際は、造作でキッチンを作ることをお勧めしています。)
又、内装の壁もPB(石膏ボード)+クロスではなく、珪藻土(最近では安く入手可能)など使ったりして工夫などをすることで解決できるなど方法は沢山あります。これは、シックハウス症候群(※木の性質参照)にも有効です。
ここでは、ほんの一例にすぎますが上げてみました。まだ、方法は沢山あります。ユーザー、設計者、施行業者の3者が協力をすればいくらでもローコスト化はできます。ユーザーの方は、取り組むことに興味を持つことから始めると、意外と面白いかと思います。
※珪藻土
「珪藻(ケイソウ)」と言う植物プランクトンが、数百万年をかけて堆積し、化石化したもの。世界各地に産出し、大きさは数十ミクロン。非常に細かな気孔を無数に持ち、活性炭の数千倍という多孔質。その為、吸着性、吸放湿性などの珪藻土独特の機能性を発揮。主成分は珪酸質で、多孔質ガラス体とも言えます。
以上
2002.01.28
writing by dai−k