木の性質

 私は、今までにいくつかの構造の建物を手掛けましたが、中でも木造の建物が特に好きである。木が持つ独特の肌触りや匂いや暖かみなどが自分自身の心を和ませる気がします。又、木材を組み合わせて建物となってからも木材は呼吸し生きています。そんな事を考えていくと私自身の木に対する根本的な考え方を再度、認識することが出来ます。

 ここでは、木の本来の性質も含め自分自身が思っている事などを中心に書きたいと思っています。

 建築に使う木材には、一般的に針葉樹と広葉樹があります。
針葉樹はヒノキ、スギ、マツなどが代表的で、構造材や造作材などに使われます。建物を造る上で、構造材(柱、梁など)に関し「総ヒノキ造り」という言葉をよく耳にすると思いますが、耐久性もよく見栄えもいいので私がもっとも信頼する構造材です。室内空間においては和室などの真壁構造の柱や天井材にはスギを使うこともあります。スギは木目が綺麗で化粧材としても使われています。構造材と化粧材を組み合わせることにより室内に暖かみを造れると思っています。
広葉樹は、ケヤキ、ミズナラ、ブナなどが有り、おもに仕上げ材に使われますがケヤキは構造材として使うことができます。ケヤキは特に木目に特徴があり、飾り棚を造るときにも室内のポイントとしても存在感がでます。
針葉樹と広葉樹を巧みに使い分けることによって、室内空間を造る事を皆さんにはお勧め致します。

 上記では、木の種類を書きましたが今度は、木の性質について話を進めていきたいと思います。
木という物は製材(加工)すると乾燥が始まり、縮んだり反ったりします。それは、木が元々水分を持っていますので水分を放出することによって、その様な乾燥収縮の現象がおきます。構造材として使うときには十分注意が必要になります。又、木を乾燥し続けることにより水分がなくなり木は、絶乾状態になり強度も増し乾燥収縮による「たわみ」などがなくなります。その点を考えると、乾燥材を構造材として使うことを強くお勧めします。建物の完成後に構造材の強度を考える事と、床や壁にふくれや隙間などができ表面仕上げが切れたりするなど、仕上げ材の不都合が生じる事を考えると使うべきだと思います。しかし、乾燥材は未乾燥材と比べて金額的に割高になるということも考えておかなくてはいけないことです。しかし、木という物はある程度の温度や湿度により変化することも考えておいた方がいいと思います。

木について表面的なことを書いてきましたが、ここで言う木とは、丸太などから柱や梁に使用する形に加工した物をさします。他にも、二次加工された集成材(製材した板を接着剤で貼り重ねた物)や合板(薄い板を貼り合わせた物、ベニヤ)などがあります。集成材は大断面が可能で強度も高く、合板は伸びや縮みが少なく、寸法の安定性があるなどの特徴があります。その反面、接着剤を使用するので人体に影響(シックハウス症候群)を及ぼす危険性や、将来的にリサイクル不可能といった問題もあります。集成材や合板について単純な説明になりましたが、機会があればもう少し詳しく書きたいと思います。

※シックハウス症候群
新築の建物やリフォーム後間もない建物で生活する人達が、目や鼻、喉の痛み、頭痛などの体調不良を引き起こすもので、新建材や塗料などに含まれる科学物質が原因とされる。科学物質:ホルムアルデヒドやトルエンや有機リン系の殺虫剤など。


以上
2002.01.21
writing by dai−k

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