自然との共生

 現代、高度成長に伴い技術の進歩などによって、様々な面において発展してきました。発展した事により多くの財産も授かりました。その一方ではマイナスの財産も残しています。皮肉なものですが「環境破壊」と言う物を現代に作ってしまったという現状です。森林の伐採や湾岸の埋め立てなどがいい例です。森林の伐採では土砂崩れや動物達が行き場をなくしたり、湾岸の埋め立てでは魚などが減っています。今、現在でも「環境破壊」が進んでいます。
自治体などでは「環境破壊」について色々な分野で動き始めています。その様な現状に直面し、建築家として、何をどうするか身近な観点、住宅における設計活動から考えたいと思い、ここでは、自然という「エネルギー」をいかに建物と調和するか、何をどうするか色々な事を考えてみたいと思います。

 住宅を設計するにあたり、まず、簡単な方法として、単純に敷地内の植物を伐採しないという事が上げられます。ここでは、そのまま残すものと移設をするという方法で進めていきたいと思っています。ただし、植物の移設時期(季節)に関しては植栽専門業者などに確認する事を心がけましょう。(※移設時期を間違えると、移設後に植物が枯れてしまう可能性があります。)建物を設計するにあたりボリュームの検討に加え植栽の配置を練る事が肝心です。既存の植栽を最初に熟知し、庭の位置にしても、和室などからの植栽の眺望も肝心な要素になります。そういった中で、建物に対する調和をいかに取るかをまず検討する事が大事です。
次に自然風をいかにして建物に取り入れるかを検討しましょう、東西南北のどの位置に開口部を設置するかというのが大きな要素になります。風の通り道を作る事により冷暖房に頼らず室内の温度調整をする事なども可能になります。この方法により、以前設計した建物は、冷暖房器具の使用頻度を少なくすることに成功しました。いかに自然風を取り入れるかにより冷暖房機器の増加に伴う、現代のヒートアイランド現象の抑制にもつながります。

 ソラーシステムの利用、産業廃棄物を出さない方法など、他にも沢山ありますが、取り合えず2点をここでは上げてみました。実際設計するのに対し既存の植物を伐採する事により建物自体を自由に設計する事も可能になります。しかし、その様な事を繰り返した結果が、「環境破壊」を続ける事になりました。緑を残す事により緑不足の解消と、自然風を取り入れる事により得られる利益は、今後の日本における「環境破壊」とのつながりに少しは貢献できるのではないかと感じています。まずは、その風土に合った物を取り入れる事から始めてみるのも方法ではないかと思っています。

 最後に、私達がしてきた事(「環境破壊」)について、歴史を後戻りする事はできませんが、私達は自然と共生していける道(設計を含め)を、もう一度考え直してみてはいかがなものでしょうか。その為には、私達が自然(環境)に対する意識改革をしなくてはいけないと思っています。

※ヒートアイランド現象
都市化の進行により、冷暖房の放熱、ビル、舗装道路の蓄熱、緑の不足による冷却効果の減少、大気汚染による温室効果などが相まって都心部の気温が郊外に比べて上昇する現象。


以上
2002.01.15
writing by dai−k

Essay Top
Home